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国内路線バスの廃止距離

 「埼玉都民」の暮らしに欠かせない鉄道。たとえば浦和駅から新宿駅まで最速23分、和光市駅から渋谷駅まで最速27分。埼玉と東京の間にはJRなどの各線が大動脈のように走り、本数も多い。一方で県内各駅から先の交通網、いわば毛細血管に異変が起きている。

 各地で相次ぐバス路線の廃止やドライバー不足である。

 日高市の武蔵高萩駅(JR川越線)と飯能市の飯能駅(西武池袋線)の間を走るバスが今年度末で廃止になると発表されたのは8月のこと。約10キロの路線沿いには大型団地もあり、1日約880人が利用している。日高市などによると、川越、飯能駅まで出て、都心近くまで通勤・通学する人も多い。

 運行するイーグルバス(本社・川越市)は2006年、大手バス会社が不採算として廃止予定だったこの路線をあえて引き継いだ。車内にセンサーを付け、どの時間帯にどれだけの人が乗降するかを把握する運行の「見える化」やデジタル化も進めた。

 だが、燃料費高騰にドライバー不足が重なり、毎年約4千万円の赤字。そこに乗務員の「働き方改革」という労働時間規制もあり、人手はさらに足りない。

 国土交通省によると、13年度以降に全国で廃止されたバス路線の総距離は1万3千キロ余りに上る。首都圏も例外ではない。少子高齢化による利用者減という構造的問題もあり、22年度現在のバス事業者(保有車両30台以上)の87%が赤字だ。

 日高市は代替として地元タクシー会社に委託し、コースを決めてワゴンタクシーを運行する方針。飯能市は運行コストの補塡(ほてん)などで市内の路線を存続させる方向だ。2市とも厳しい財政事情のなか、公的支出をして市民の足を支える。

 平日の昼、武蔵高萩駅前からバスに乗り、団地前で降りた女性(75)に話を聞いた。団地に約50年暮らし、駅近くの眼科に行った帰りといい、路線が廃止されることは知っているという。

「埼玉都民」の現在地とは

東京より生活費が安く、暮らしやすい。そんなイメージから埼玉に移住し、都内に通勤・通学する「埼玉都民」は多いですが、利点ばかりではないようです。選挙を機に考えませんか。

 「とくに年寄りは本当に困る…

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